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作家紹介


二十一世紀に輝く知性と良心――人間らしい真実を求め、生涯をかけて成長・発展しつづけた国民的作家 宮本百合子

 宮本百合子の思想的・文学的な成長・発展が全体として系統的に分かるように、本全集ではじめて、全作品を小説・評論ごとに編年別で編集。

 宮本百合子は、二つの世界大戦をふくむ二十世紀前半の激動の時代を理性と人間性への変わらぬ信頼と愛情をもって生きぬき、九十四編の小説と千編を超える評論・感想を残した作家であり、思想と文化の幅広い働き手でした。
 百合子は、十七歳のとき「貧しき人々の群」で文壇に鮮烈にデビューし、女性の自立を追求した作品「伸子」を発表した後、新しい発展をもとめてソ連、ヨーロッパで生活。帰国するとまもなく、プロレタリア文学運動に参加し、その後、日本共産党に入党。侵略戦争と治安維持法が猛威をふるった暗黒の時代に、たびかさなる検挙、投獄、執筆禁止の迫害に抗して時局を批判する創作や発言をつづけ、また、夫宮本顕治の不屈の獄中闘争をささえました。そのたたかいは、野蛮な権力によっても打ちひしがれることのなかった理性と良心のあかしとなり、戦後の百合子の飛躍、発展を準備するものとなりました。
 百合子は、戦後せきを切ったように執筆活動、発言を開始。「播州平野」などの小説でだれよりも早く新しい世界と人々を描き、また女性の解放、平和のためのたたかいに献身しつづけました。しかし、文学的にも人生の上でもこれからというとき、一九五一年一月二十一日、五十一歳で急逝しました。
 百合子は、停滞ということを知らない人でした。戦前の半封建的な制度のもとでの女性にたいする抑圧に苦しみ、侵略戦争のもとでの野蛮な弾圧を受けながらも、正面からこれらに立ち向かい、人間として、作家として、思想家として絶えず成長し、発展していきました。