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新日本出版社

商品詳細

山田太一が「老い」をモチーフに描く珠玉の戯曲二編

ISBN978-4-406-05128-6 C0093

二人の長い影/林の中のナポリ

二人の長い影/林の中のナポリ

定価1,944円(本体1,800円)

2008年4月5日

四六判上製 251P

七十過ぎても「生き直したい」と、老人ホームに入る寸前に逃げ出した老婦人(『林の中のナポリ』)。敗戦の混乱で生き別れになった恋人との再会――七十代八十代になった今だからこそ初めて語れる戦争体験、そして「アイ・ラブ・ユー」(『二人の長い影』)。巨匠・山田太一が、劇団民藝の女優・南風洋子さんのために書き下ろした作品。

〔目次〕

  • 二人の長い影
  • 林の中のナポリ
  • 南風さんの遠隔操作で

…書き出す前も書き出してからも書き終えた時も南風さんは、会えばいっぱいの笑顔で、勇ましいといいたくなるような気迫で、舞台について語った。稽古で民藝の稽古場へ行くと「これはノラですね。常識では無茶でも年寄りの心にある夢ですね」などとおっしゃった。

  私もそれに近い気持ちだった。南風さんで老人を描いて、リアリズムで終始する物語など書きたくなかった。気品のある老婦人が、笑いの多い舞台の中を、明るく無茶な方向へすすんで行く。観客には彼女の行き先の暗闇が見えるが、老婆は終始明るい。万事承知で明るい。明るいまま無茶な旅を続けていく。そんな舞台を書きたかった。あとになれば、まるで南風さんのその時を描いたように思えるが、私は何も知らなかった。

(南風さんの遠隔操作で より)